Archive for 2005年9月

Published by Yoshimi on 2005.09.01

気ままにおでかけ/プチ漂流の巻

近所でなぜかプチ漂流 デラウェア川チュービングの旅

皆さん、今年の夏は楽しめましたか?ニュージャージーは山あり海あり川あり湖ありと自然が多くて、近場でもいろいろ楽しめるので本当に嬉しいですね。さて私はと言いますと、この夏初めてデラウェア川でチュービングに挑戦しました!その様子をここにお伝えしましょう。

母子3人でいざ出発!

チュービングとは、浮き輪で川下りをするレジャーです。浮き輪に乗ってぷーかぷかと川を漂う・・・なーんて、めっちゃくちゃ気持ちよさそうじゃありませんか!今までその存在を知りながらも、子どもが小さいから無理と諦めていたのですが、いまや上の娘は6歳半、下の息子は4歳半。ウォーターパークで浮き輪に乗って、流れるプールを漂ったり渓流すべりを楽しんだりできるようになったので、「今年ならチュービングもやれるだろう」と思ったのです。

思い立ったら即実行!お父さんの体が空く週末まで待っていられません。今日はサンダーストームという天気予報も鼻でせせら笑いながら、サマーキャンプも終わってだれ気味の子ども達に水着とTシャツを着せ、車に押し込んでいざ出発!向かった先は、Frenchtown(フレンチタウン)。ここはLambertville(New Hopeの隣町)から車で10分北に行ったところで、デラウェア川のすぐ東側にあり、プリンストンからは車で50分(30マイル)。主人なしでも、らくらくいける!・・・なーんて気軽に行ってしまったのです。あぁ、でも、今から思うと、なんて無謀なことをしたもんだ。この時点で(いや、川から出発する直前ですら)「チュービングにどのくらいの時間がかかるか」「女子どもだけでも楽しめるか」なんてことを、しっかり調べもせず聞きもせず、「まぁ2時間くらいのお手軽レジャーかな」なんて超楽天的に考えて行っちゃったのですから・・・。

着いたところは、だだっ広い駐車場。その横にある小さな小屋で申し込み、お金を払いました。チュービングの料金は大人17ドルに子ども(10歳以下)16ドル。これは嬉しいことにランチつきなのです。チュービングの途中、川のどこかでホットドッグがただで食べられるらしい。スクールバスでスタート地点に連れて行ってもらい、上の娘用の1人乗り浮き輪と、私と息子用の2人乗り浮き輪を紐で結びつけ、浮き輪に飛び乗って出発しました。

雷にあい、川に流されそうになり・・・

出発してみてわかったのは、デラウェア川ってなんて広いんだろう、ってことでした。これは川岸から見るだけではわからないもので、川の真っただ中でこそ体感できるものですね。あとで実際の川幅を地図で測ってみると、広いところで約400mでした。とにかく見渡す限り川の水面で、その両側には山がどどーんとそびえていて・・・。こんなに雄大で、静かで、開放的な景色にはしばらくお目にかかったことがありません。そんな中に、小さな浮き輪にちょこんと乗って漂っているわたし。それは木の葉に乗って海を漂うアリさんのよう。すると自分はなんてちっぽけな存在だろうと思えてきました。

・・・するとまもなく、北の空がにわかに真っ黒になり、ゴロゴロと不気味な音が聞こえてきました。まずい、雷です!しかし私達は出発してしまった。後戻りなんかできないけど、いくらなんでも川の上で落雷は危険ちゃうかとびびっていると、小さなボートに乗ったふとっちょのおじさんが近づいてきて、「もうすぐ雷雨が来るようだけれど、戻る?」と聞いてきました。Tシャツを見るとどうやらホットドッグ屋さんのようです。即座にうなずいて、ボートに乗せてもらい、一旦スタート地点に戻りました。ほどなく雨が降り出したので、駐車場に戻り雨がやむまで待ち、1時間後に再スタート。

 再スタートしてからも、しばし川の大きさに感動していました。しかし川がでかすぎて、周りの風景がなかなか変わらないため進んでいる気がしません。一方、一緒にスタートしたはずの家族連れは、川の流れに乗ってどんどん先に進んでいます。これはいかん、とがんばろうにも、ここにあるのはただ浮き輪だけ。カヌーやカヤックで使うオールもないから、自分の手足だけが動力で、あとは川の流れに身を任せるしかないのです。しかも、重石にはなっても動力の足しにならない、手のかかる子どもが2人もいる。両手でぱちゃぱちゃと水をかいてもかいても、浮き輪は自分の思うようには進まず、家族連れはどんどん先に進むばかり。かといって冷たい水に身を沈めてバタ足する気にもなれない。「待って!置いてかないでーー!」と家族連れに叫ぶのも情けなくて、自分の存在のちっぽけさを思い知らされるばかり・・・後を追うのは諦め、のんびりしながら行くことに決めました。 しばらくしてさっきのおじさんが、今度は水上バイクで近くを通りかかったので、ホットドッグ屋の場所を聞いたところ「ここから1時間くらい先のところにある」とのこと。おじさんが行ってしまって、川の上に見えるのは、ただ水だけ・・・私たち以外には、とんぼとアメンボしか見えません。しばらく広々とした景色と、何にもない開放感にまったりと浸っていたのですが、突如ホットドッグ屋さんやゴールへはどう行ったらいいか、いや全体の所要時間すら知らないことに気がついたのです。
「あれ・・・ほんとにこのままゴールにたどり着けるんだろうか・・・もしこのままゴール地点がわからず通り過ぎてしまったら?・・・お金も免許も持ってないぞ・・・どうやって駐車場まで戻るんだ?それとも警察に保護されるのか?・・・いつまでこの状態が続くんだろう・・・」 などと暗い考えが頭をよぎり始めました。それはまるで「船に乗っていたら船が転覆して親子3人で流木につかまって命は取り留めたものの、1週間海の上で絶望のなか漂流中」の気分(ほんまに!)。自分は無謀な人間とはわかっていたけど、ここまで無謀で無茶だったか、とボーゼンとしてしまいました。いやぁまさか、家から車で50分の場所で、プチ漂流しちゃうとは。

 ・・・1時間経過したところで、ようやく大きな中州の島(A地点)にたどり着き、私達は自然に島の左側(NJ側)に流れていきました。川幅が狭くなり、時折川底の石が見えるくらい川が浅くなるので、子ども達が喜んで川に降りて、歩きました。私も少し、気分が楽しくなってきました。 ・・・1時間半後。お昼ごはん抜きで、飲み水も持たず、2時間近く川の上をさまよっているうち、一旦収まった漂流気分がぶり返しそうになりました。するとホットドッグ屋さんの看板らしきものが前方の島(B地点)に見えてきました。やった!ようやく休憩できる!と思ったのもつかの間、ホットドッグ屋は島の右側にあると看板に書いてあるのに、左側に流されそうになっていました。それはあかん!なにがなんでもホットドッグ屋に着かなければ!私は体が濡れるのも構わず、ドボンと川の中に飛び込み、浮き輪につかまって「ホットドッグーーー!」と叫びながらバタ足を始めました。でも思った以上に川の流れが速く、なかなか前に進みません。「ああどうしよう、やっぱり女1人ではだめか、ホットドッグはおあずけかーー」と焦っていたら、またもやあのホットドッグ屋のおじさんがボートで助けに来てくれたのです。ありがとうおじさん!(おじさんは私みたいに遭難しそうな人を助けるために、頻繁にパトロールしているようでした。)そしてようやく、川岸にあるホットドッグ屋さんにたどり着き、ホットドッグとレモネードにありつけたのですが、私はこの時点でもう、気苦労と空腹でふらふらでした。

 休憩の後、後半の旅に出ました。おじさんにゴールの場所と時間を聞くと「ゴールはあと1時間半から2時間くらい先、壊れた橋の手前の川の左端に人が待っている」とのことでした。出発して30分後からは流れの早い場所が多くなり、激しくはないけどそれなりに渓流下りが味わえて、面白かったです。そしてついに、前方に「壊れた橋」が見えてきました!やった、いよいよゴールだ!夢中で手で水をかいて岸を目指し、30分後、ようやくゴールにたどり着きました。かくして2時間くらいとタカをくくってやってきたチュービングの旅は、いろいろあって7時間後(午後6時)にようやく終わりを迎えました。そのときに眺めた夕焼けのデラウェア川はとってもきれいで、しばし疲れを忘れさせてくれました。

仕事でお疲れのお父さんも癒される!

長くて疲れもしたけど、大きな自然に身をゆだねて、とっても癒された気がしたチュービング。次回は絶対お父さんも連れて行きたい!と思って、数週間後の週末に家族で再び行ってみました。すると、川の上には浮き輪がいっぱい!10人くらいで固まってチュービングを楽しんでいる団体もいました。標識も川の上にたくさんあったので不安になることもなく、「あの漂流気分は何だったの?これなら全然さびしくないやん!」と思いました。そして今回は、お父さんの理性的な判断と素晴らしい運動能力(はい、そうです、私にはないものばかりです)によって、浮き輪は的確なルートをたどり、すこぶる順調に進みました。やっぱり頼りになるなぁ、お父さん。そしてお父さんもチュービングがすっかり気に入り、「これは癒される!会社の人間にもすすめよう!次回はお前が前回経験した漂流気分とやらを味わってみたいなぁ」と言っていました。

 さぁ全行程5-6マイル、所要時間3-4時間のチュービングにぜひ挑戦してみてください。自然は甘く見ていると大変な目に遭いますから、くれぐれも私みたいな無謀な戦いを挑まぬよう、事前準備と情報収集はぬかりなく。漂流してみたい方は平日に、みんなで和気あいあいがお好きなら週末に行ってみてください。なおデラウェア川の反対の岸(PA側)には大きなチュービング屋がありますが、NJ側の方が安い上、ランチもついて、お店の人もフレンドリー(特にバスドライバーのマシューさん♪)なのでおすすめです。

 ◆チュービングのポイント
服装:
もちろん水着着用。上にTシャツを着ておくと日焼け防止と保温に役立ちます。帽子もあった方がいいかも。終わった後に使うバスタオルと着替えも忘れずに。
日焼け止め:腕、肩、足など全身に塗りましょう。4時間以上も日光にさらされるので油断は禁物!
履き物:ウォーターシューズ、古いスニーカー、脱げにくいサンダルなどを履きます。ビーチサンダルは川上で流されてしまう可能性大なので、履かない方が無難。
持ち物:浮き輪に乗るときは飲み水程度しか持っていけません。写真を撮りたいなら、使い捨てのウォータープルーフカメラを用意しましょう。ランチつきなのでお金は基本的に不要。貴重品は車内に置いて、車の鍵を小屋に預けます。
ルート:川の真ん中ほど流れが速いので、スタートしたらなるべく川の真ん中に行って流れに乗ること!これで30分から1時間の差が出ます。

Delaware River Tubing(Frenchtown, NJ)
http://delawarerivertubing.com
tel:(908)996-5386 NJ-Rt.29を北上、34マイル地点の直前右手にDelaware River Tubingと書かれたボートが見えたら角を右折する。シーズン中は無休、9月以降のオープンは要問合せ。
The Famous River Hotdog Man
http://www.riverhotdogman.com

(たんぽぽ2005年9,10月号)