Published by Yoshimi on 2004.11.01
気ままにおでかけ/クリスマスキャロル人形の巻
ドイルスタウン探訪(1) クリスマスキャロル人形とティーハウス
11月です。ホリデーです。誰がなんと言っても、一気に町はうきうきばたばたの雰囲気です。そして12月になったら町中クリスマスに向けての準備に大忙しです。あー、カードを買わないと!家族写真撮ってこなきゃ!プレゼントプレゼント、なに買うねん!そんなことを言っているうちに、あっという間にクリスマスがやってきてしまうんですよね。しかし、町でサンタさんを見かけたり、大きな木や家の屋根に電飾が施されてピカピカ光っているのを眺めると、クリスマス前の慌しさも、あるいは耳も千切れそうなくそ寒さもしばし忘れて、もうすぐやってくるクリスマスの素敵なひと時に思いを馳せるのです。
クリスマスキャロル人形との出会い
クリスマスイブにはあちこちの教会や広場でキャロリング(みんなで歩き回りながら歌を歌う)が行われます。私も日本にいるときに2度キャロリングに参加したことがありますが、音が外れようが、でたらめ歌おうが、寒空の中で多くの人と一緒に歌を歌うのは結構快感です。きっと多くのアメリカ人の心には、キャロリングは大事なクリスマスの思い出の一つとして残っているのでしょう。ところでクリスマスの時期になると、ちょっとした置物などを扱うお店のショーケースに、とっても気になる「キャロリング人形」が飾られるのをよく見かけます。この人形、はっきり言ってあんまし可愛くないのです。ちょっと細面で、目が点のようにちっちゃくて、口をこれでもかと開けている、その表情はムンクの「叫び」に似ていなくもない。なんでこれが大事そうにガラスのケースに入れられてるのか?そんなにこれは有名な人形なんか?と首をひねったものです。
あるときペンシルベニアのどこかに行った際、いつものクセでビジターセンターで観光地のパンフレットを片っ端から集めたとき、その中にあの「ムンクの叫びキャロリング人形」の写真が目に留まりました。よく読むとその人形を作る会社・Byers’ Choice がプリンストンから1時間くらいのところにあり、「工場見学、ビジターセンター、ミュージアムあり」なのだそう。しかも工場の近くはかねてから行きたいと思っていた、Doylestown(ドイルスタウン)やん!このペンシルベニア州ドイルスタウン、さまざまなパンフレットによると、バックス郡の中心地で、歴史のある町らしい。タイルでできたお城(?)とか、タイルを作ってる工房とか、1800年代の生活用品を集めた馬鹿でかい博物館とか、バックス郡の芸術家の作品を集めた美術館とか、見るところもいろいろありそう。ということで、セットで行ってみることにしました。
見どころいっぱいの人形工場
それではお出かけ出発!ペンシルベニア・ターンパイクに乗り、PA-611 Northに乗り継ぐ。そしてCounty Rd.を左折してRt202との交差点を越えたら、すぐ右手に緑の看板がついた入り口が見えてきました。中に入ると・・・ふーん、結構きれいな庭やん。可愛い子どもの彫刻なんかも立ってるし。ビジターセンターの前には大型バスがドンと停まっています。もしかしたら団体で来ているお客さんがいるのかも。ちょっと期待が高まってきました。 入り口を入ると、右手には19世紀の名作、チャールズ・ディケンズの「クリスマス・キャロル」に出てくるような町並が再現されていました。この町並の奥に行くと、ギャラリーらしい・・・ おおーーっ!「ムンクの叫び人形」、もとい「キャロラー」がいっぱい!いるわいるわ、一体何体の人形があるんだろう。それもお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、男の子に女の子、郵便屋さん、サンタさん、まあいろんな人達が帽子をかぶったりマントを着てたり、マフラーしてたりとさまざまな格好で、19世紀イギリスの広場のようなところで、みんな一様に大きく口を開けて歌っております。歌ってる、歌ってる、いやもう、あごが外れそうな顔で歌ってる・・・でもこうやって見たら、「ムンクの叫び」じゃないなぁ。怖くないもん。一生懸命歌ってて、どことなくユーモラスでかわいい顔をしてるよなぁ。「ムンクの叫び」なんて言ってごめんよ、キャロラーたち。
道の途中に「オブザベーション・デック」という入り口があったので入ってみました。言い忘れましたがここで作られる人形はすべて手作り、一つとして同じ顔の人形はいないと言われています。このデッキからは人形の製作現場が、一段上からガラス越しに見えるのです。たくさんの女の人がヘッドホンで音楽か何かを聞きながら、粘土で人形の顔を作ってたり、色を塗ってたり、ミシンで洋服を縫ってたり、人形の体に洋服を着せていたりする様子がよく見えました。
デックを出ても、歌うよ100人キャロラー劇場はまだまだ続きます。「くるみ割り人形」や「クリスマス・キャロル」のシーン、赤や緑の衣装をつけたビクトリアン調100人劇場、それから「キャロラー」人形のこびと版「キンドルズ」がこれまた100人くらいでジンジャーブレッドハウスによじ登ったり、雪合戦をやってるところなど、いろいろな場面が楽しめました。ジオラマ好きの私としては、人形一人一人のディテールや、背景にある家の中の小道具などを見ているだけで、どんどん時間が経っていきます。いやー、クリスマスだけでこれだけの世界を作って見せてくれるって、すごいですよ。
・・・と思ったら、まだ先がありました。会社の概要などを説明した部屋があり、その左側には「キリスト生誕の像(Creche)」のコレクションが展示されていました。世界35カ国以上から収集された生誕像コレクションは世界でも珍しく、わら、木、粘土と素材もさまざまなら、大きさもさまざま。しかしどれもみな、あったかく、神々しい雰囲気が感じられます。部屋の中央のガラスケースには、18世紀イタリアで作られたprecipio(和訳わからず)のコレクションが収められていて、天には天使が舞い、東屋に誕生したキリストを雲から差す光が照らしている様子が再現されていて、息を呑む精巧さ、美しさです。ほんと、これは一見の価値ありです。
いやー、すごい!と思いつつ先に進むと、またムンク人形、もといキャロラーたちが再びお出迎えしてくれます。気がついたらそこはすでにミュージアムショップ、つまりおみやげコーナーになっていました。お客さんたちは人形一つ一つを眺めては、どれにしようか迷っています。うーん、これだけあったら迷うわなぁ。でも「これだ!」という一体に出会えたら、きっと嬉しいだろうな。キャロラー人形やキンドルズの展示販売だけでなく、レアなクリスマスデコレーショングッズなども多数置いてあって、お買い物もとても楽しめました。
アフタヌーンティーでひと休み
さて、見て買ってと一通り済んだところで、ちょっと休憩を取りたいな、と向かったところはティーショップThe Talking Teacup。Rt.202North方面に出て少し行くと、左手にセブンイレブンが見えてきます。その隣に、セクシーな顔をしてハイヒールを履いたティーカップの絵の看板が。これこれ、これです。アメリカはコーヒーが日本でいうお茶代わりになってるから、どこに行ってもコーヒーしかなくて、しかもおいしいものにはめったに出会えないじゃあないですか。たまーに紅茶を飲みたいなと思ってカフェで頼んでも、発泡スチロールのコップにお湯をどぼどぼ注がれて、「ここのティーバッグをどれでも好きなもの入れて」と店員さんにあごでティーバッグを指されるようなもんでは、どだいおいしい紅茶になどめぐり合えません。しかし歴史のあることを売りにしている町には、なぜかひっそりとティーショップがあることが多いんですね。
私が今回訪れたお店は250年前に建てられた民家を改装したもので、フルサービスのティーショップでした。中に入ると、こじんまりとした木のテーブルがあちこちに置かれ、テーブルにはピンクの小花模様やチェックのテーブルクロスがかけられ、透かし模様の入ったベージュのティーカップや、バラ色が美しいお皿が整えられ、上品そうなおばあさんや奥様達が静かにお茶を飲んだりランチをいただいたりしていました。うわぁ、いいなぁ・・・とうっとりしながら席に座り、メニューを眺め、いざ注文しようとしてふと時計を見ると、やや!時間が全然ない!優雅にアフタヌーンティーを頼もうにも、15分しかないなんてどういうことやねん!「ご注文はなんにしましょう?」と声をかけてきた優しそうなおばさんに向かって、「あの、本当は、このアフタヌーンティー・セットを頼みたいんですけど、あと15分で出ないといけないんで、スープと、アール・グレイ・ロイヤルと、スコーン一つを持ち帰りでください!」と、ものすごい勢いで頼む羽目になってしまいました。その勢いに押されたおばさん、「わ、わかったわ。そしたらスープは早速、持って来るわね、ちょっと待ってて」と厨房に走っていき、言葉通りにスープをすぐさま持ってきてくれました。そしてその1分後にはポットティー(茶葉を入れたままポットサービスすると苦くなるので、テーブルに出す前に茶葉を取り出すらしい)を、さらに1分後には小さなスコーンを一つ、蓋に“Thank You!”とマジックで書いた容器に入れて持ってきてくれて、「普通はレジでお会計するんだけど、時間がないならテーブルにお金を置いていってくれてもいいからね、エンジョイ!」と慌てながらもご丁寧に言ってくれたのです。それらの対応がとっても嬉しくて、おおーっ、ここは素晴らしいぞ、アメリカのお店らしくないぞと喜んでしまいました。そして出されたパンプキンスープは素晴らしくおいしい。紅茶も香りのよさにびっくり!どちらもついついじっくり味わってしまい、しかもどうしても同じ紅茶を買って家で飲んでみたくなって、予定の時間を10分もオーバーしてしまいました。もう、こんなにいいお店だと知ってたら、さっきのミュージアムでのんびり過ごさずに早くこっちに着たのにー。次は絶対、ゆっくり来るぞー!
ちなみにアフタヌーンティー・セットは、スコーン、サンドイッチ、紅茶、お菓子がセットになって14ドル。キッズメニューはあります(6ドル)が、雰囲気が静かなところなので、小さいお子さんや元気いっぱいの子どもは、親の精神衛生上連れて行かないほうが楽しめるかも。
そのままRt202を北上し20分近く、次なる目的地ドイルスタウンに到着しました。ここはメインストリートの道路事情が少し複雑なので、タウンマップがあったほうがよさそう。始めに訪れたタイル工房は、ダウンタウンから少し離れた、町の北の方にありました。まずは工房見学の前にタイルショップでお買い物・・・形も模様もさまざまな手作りタイルは独特の魅力を放っていて、あぁ、どれも買いたい!えーい、そんなら読者プレゼントにしちゃえ!と変な口実を作ってバカバカ買い込みました。これで買いたい欲求はひとまず満足。そこへ「ツアーの方はこちらへ」の声が・・・あぁ!ここで時間(紙面)切れです。ドイルスタウン編は次号のお楽しみ!!
The Byers’ Choice Christmas Gallery
4355 County Line Road, Chalfont, PA 18914
Tel:(215) 822-0150
http://www.byerschoice.com
月-土 10:00-5:00、日 12:00-5:00、祝日休
The Talking Teacup
301 West Butler Ave., Chalfont , PA 18914
Tel:(215) 997 – 8441
http://www.thetalkingteacup.com
火-日 9:00-4:00
(たんぽぽ2004年11,12月号)